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zoom RSS Days266 「Honey Rider」 晴 11月3日

<<   作成日時 : 2005/11/11 23:28   >>

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もぉ、最高にロマンスな夜〜♪

林を抜けるとちょうど門の前に出る道に突き当った。アクセルをふかし、轟音を立てて、スタートを切る。門の前で中に入れろ、入れないで警備員と記者たちがもめていた。その真ん前を堂々と走り抜けて行ってやる。予想もつかないところから、いきなり飛び出してきたバイクにカメラマンたちは条件反射でシャッターを切った。その音に反応した記者たちはいっせいに門の前から離れ、口々に叫んでいた。

シュウ!?
後ろはMIKUか?」 
あのバイクを追え!
明日の一面は恋の逃避行だ!

ナイフのような風、エンジンの爆音、背中に伝わる確かな温もりは、どんどん俺を大胆にさせていく。
「晴ぅっ!」
「なんやぁ?」
「後ろから、すごい数の車、来てる!バイクも増えてる!」
「後ろ、見るな!」
「えーっ? 何ぃ?」
「前だけ見とけ!」
「わかったぁっ!」
夜空に浮かぶまるく大きな黄金色の扉を目指し、フルスロットルで走る。

後続車は途切れることなく後ろにぴったりとついてくる。と、一台のバイクが左脇にならんだ。
こらぁ!ルール違反やろがぁ、それはぁ!
後ろに乗っている奴がカメラを取り出し、美勇起、いや奴らにとっちゃMIKUに向けた。こんな危険を冒してまでスクープ取りたいんか? いったい、この執念はどこから来るんやろ? そっちに注意がいってしまったせいか、すぐ右脇にワゴン車がきていることに気づかなかった。どんどん幅寄せをしてくる。左脇のバイクは危険を承知で俺らの前に割り込んできた。四方を囲まれ、身動きが取れなくなった。前のバイクが左へウィンカーを出した。大きなCDショップの駐車場が見える。そこに入れというのだろう。無理すれば抜けなくもないが、俺ひとりが乗っているわけじゃない。焦ってワゴン車と接触でもしたら大変だ。俺は前のバイクについて左へハンドルを切った。皮肉なことに大音量でシュウのアルバムの曲が流れ、大型スクリーンにはプロモーションビデオまで映っていた。
バイクを停めると、次から次へと、車やバイクが後につづいた。万事休す。俺たちはあっと言う間に、記者たちに囲まれた。カメラマンは断りもなく、いっせいにシャッターを切り出した。彼らはいつもこんな奴らと闘ってるんか? なんや、もぉ、めちゃくちゃ腹が立って、挙をぎゅっと握った。と、俺の肘に美勇起の手が触れた。
……せやったな、それは、あかんことやな……
俺は美勇起の手を軽くたたいた。
「シュウさん、ですか?」
「後ろに乗っているのは、本当にMIKUちゃんですか?」
俺はフルフェイスのヘルメットを被ったまま、うつむいていた。美勇起はウィンドブレーカの中に顔をうずめ、俺の背にしがみつき、か弱きMIKUを必死に演じていた。そんな偽者のふたりに記者たちは次々と質問を浴びせてきた。
「なぜ、お二人が一緒なんですか?」
「MIKUちゃんは、映画やCMでも共演している滝沢くんとお付き合いしているんじゃなかったんですか?」
「シュウさん、これからどちらへ向かうおつもりだったんですか?」
「答えて下さい!」
どこに行こうと、俺の勝手やろうが
シュウらしくない、もの言いに記者たちは驚き、疑いを持ちはじめたようだった。
「君、本当にシュウなのか?」
「早くヘルメットを取れ!」
「さっさと顔を見せろ!」
こんな顔でよけりゃ、いくらでも見せたるわい!
俺はヘルメットを取ってやった。一瞬、水を打ったように静まったが、すぐに蜂の巣を突いたような騒ぎとなった。
「やっぱりシュウか?」
「いや、違う、似ているけど、違う…」
「誰? あなた誰なの?」
「それじゃ、後ろに乗っているのは…?」
記者達の視線がいっせいに美勇起に向けられた。美勇起はうつむいたまま、ヘルメットを取った。秋の夜風が美勇起の髪をさらさらと揺らした。
「どうも……こんばんは……MIYUです」
顔を上げ、いつもの微笑みを向けた。ほぉーっという感嘆がどこからともなく漏れ、緊迫していた雰囲気がほどけていった。が、無粋なシャッター音がそれを壊した。
「MIYU……? MIKUじゃない?」
「あなた、男性ですよね?」
男ぉ? お、男だって?
美勇起がきゅっと眉間に皺を寄せた。怒った顔がおかしくて、俺はちょっと吹き出した。
「謀られたか!」
「おい!シュウとMIKUはどこへ行った? お前ら、何か知っているんじゃないのか?」
テレビでよく見る、馬みたいな顔のレポーターが鼻息荒く詰め寄ってきた。
「さぁ……? シュウはさっきまで歌ってはったけどなぁ?」
「MIKUちゃんも来てたんだ。 でもなんで? あの子、ほら、タッキー? とかなんとかいう子と噂があったんじゃないの?」
「えっ?あれ、ほんまやったん?」
ふたりで、そらとぼけた。
「じゃあ、どうしてお前らは、ふたりになりすまして、逃げたりするんだ?」
「なりすます? あんたらが、勝手に勘違いして、追いかけてきたんちゃうの?」
「そーだよ。せっかくふたりきりになれると思ったのに……ねぇ?」
美勇起がいつにも増して、艶っぽい瞳を向けてきた。
「そ、そういうわけやから、邪魔せんといてや!」
俺は美勇起の肩に手をまわし引き寄せた。
「するかっ! 勝手にヤってろっ、この変態ども!」
「いわれちゃったよ〜変態だってさ〜」
「その変態を編隊組んで追っかけて、あんたらも大変なこっちゃなぁ!」
「ほざいてろ!」
まんまとしてやられたことに対する鬱憤をぶちまけるように、俺たちに罵詈雑言、暴言を浴びせて、奴らは散って行った。

ふんっ! そっちこそ、さっさと消えんかいボケっ!

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コメント(6件)

内 容 ニックネーム/日時
すいません♪(^O^)265話からほんのしばらく、タイトルをお借りします♪
もぉ最高にロマンスな夜〜♪君とふたり、街を出よう〜♪
Rain
2005/11/11 23:31
ご本人たちが ふつーに榊さんの車でシラッと帰ることができたのは
全て おふたりのご協力のおかげでした。(笑)
途中 危険を犯してまで ありがとう。
ほんとはね、あのふたりもきっとそんな風に走り抜けて行きたかったと思うんだ。
でも小鳥ちゃんは 飛んで行ってしまいました・・・ちゃんと戻ってきてくれればいいけどね。

「どうも……こんばんは……MIYUです」に笑った♪

「その変態を編隊組んで追っかけて、あんたらも大変なこっちゃなぁ!」

晴くんも やってくれたね(笑)

ふたりのロマンスな夜はまだまだ続く?・・・^^


2005/11/12 00:13
もうちょっと続けさせていただきます(^^ゞ
もうちょっと幸せにひたらせてあげて…。
Rain
2005/11/12 11:36
ここは桜んちじゃないよね?あはは。リンクしてるのね!!
面白い!!
SHINE
2005/11/12 18:42
時々、どっちがどっちだかわかんなくなっちゃう(まさか!?)
リンクどころじゃない、リング状態になってます。(^O^)
Rain
2005/11/12 19:24
リング・・・・貞子か(大爆)怖い怖ーい♪
うん なんだか いつの間にやら みんなお知り合いになってて
親しくなって かけがえない人たちに・・・。
運命だよ!(熱く語る桜)

2005/11/12 20:32

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