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zoom RSS 硝子の少年たち 1 - Blue編 -

<<   作成日時 : 2006/08/04 23:42   >>

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ぼくの名前は堂本美勇起。この春から、とある高校に進学する。


「おめでとう」などと、言わないでほしい。

なぜならぼくはその高校に入学する予定ではなかったからだ。もっと都心のしかも共学への推薦入学が決まっていた。それがどうして、鎌倉の山奥の(都会生まれで都会育ちのぼくにはそう感じる)男子校に入り、なおかつ入寮までしなければならなくなったのか?

父の海外赴任が決まったからだ。ぼくはてっきり、父が単身で渡米するものだと思っていた。そうなるとこの家は母とぼくと、ひとまわり離れた妹の光希(みき)の三人だけになる。何かと物騒な世の中だ。ここは長男のぼくがしっかりしなくちゃいけない。と、気を引き締めた。

ところが…。

父は母も一緒に連れていくと言い出した。何しろ父は超が十個つくほどの愛妻家で、いまだに母のことを雪那、と名前で呼ぶ。(それに倣ってか、母も父のことを光一さんと呼ぶ)いってらっしゃいの挨拶も頬ではなく唇だ。(ぼくが気付いていないと思っているだろうが、おあいにくさまだ)母がちょっとくしゃみでもしようものなら、それだけで大騒ぎだ。まぁ、要するに父は母と離れ離れになるのが嫌なのだ。
と、いうのも、ぼくが生まれるとき、父はあいにく仕事に出ていてタイバンハクリとやらに襲われ自宅で動けなくなっていた母に気付くのが遅れてしまった。病院に運び込まれたときには、ぼくか、母か、いずれかをあきらめなければならないような状態だったという。幸い…というか、みんなが口を揃えていうには『奇跡』が起きたおかげで、ぼくも母も助かったのだそうだ。しかし、父はその時の恐怖が未だに忘れられず、トラウマになっているようだった。そんなわけで妹が生まれるときは大事をとって、早いうちから母は入院させられた。父もそこに泊り込み、母と、文字通り二人三脚で光希の誕生を迎えたのだ。


ぼくだけが堂本のおじいさまの家に預けられていた。


今度もそうなのかな……。


すでに進学する高校が決まっているぼくは、また、ひとり、残されることになるのだろう。


堂本のおじいさまのお屋敷でも、母の実家である黒崎の家でも、どちらでもかまわない。何しろぼくは両家にとって初孫、しかも男孫なので、どちらからも大事にされ、可愛がられていたのだ。絶対にぼくを叱らないし、欲しい物は何でも買ってくれる。そこでしばらく大人しく過ごしたら、時期を見て大好きな叔父の家へ転がり込んでしまえばいい。そこにはぼくをペット扱いする叔母もいるのだが、それを差し引いても余りある魅力が叔父には備わっていた。なにしろ彼は今、日本で最もライブチケットが取りにくい人気ミュージシャンなのだ。そんな人と一緒に暮らせるなんて、素敵だと思わないか?

ブラボー!ぼくの薔薇色の高校生活!ぼくの美しい十代!

と、浮かれていられたのは、ほんの数分だった。
「そういうわけで美勇起。お前をここに預けることにしたから」
と、父が小冊子を広げた。深い緑に囲まれて佇む洋館と、おそらくその建物の中の写真が載っていた。どうやらそれはリゾートホテルのパンフレットのようだ。ぼくは施設案内に目を通した。全館全室冷暖房完備、どの部屋もインターネット接続可能(しかも光だ)、セキュリティも万全、部屋には備え付けのミニキッチンもあり、ちょっとしたワンルームマンションのような作りになっていた。これはこれで興味をそそられた。しかし、いくらぼくが一大財閥である堂本家にとって大事な跡取りとはいえ、ここで一人暮らしをするなんて、贅沢過ぎやしないだろうか?
ぼくがそう言おうとしたとたん、遮るように父が話しはじめた。

ぼくと父ははいつもそうだ。うまく噛みあわない。

「食事も専属の栄養士が献立を考えてくれるから、三食きちんと食べれば、成長に必要なものは、おのずと摂取できるようになっているらしい」
栄養士? 献立? それって給食みたいだな…と、ぼくは思った。すると、母も同じように感じたらしく
「まるで寮みたいね」
と、ぼくの手にあるパンフレットをのぞきながら言った。
「え?」
父が驚いた顔をぼくらに向けた。
「え?って、なぁに光一さん?」
「あれ? 俺、言わなかったっけ? そこ、学校の寮だって」


寮? 

寮だって? ぼくはあわてて、そのパンフレットの表紙を見た。

そこには…


J大付属中・高校 桜桃寮 ご案内。


と、書かれていた……。

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コメント(5件)

内 容 ニックネーム/日時
いや〜いよいよ 始まりましたね☆ワクワクしながら読ませてもらいましたよー♪あのミユが高校生になってまた会えるなんて感激☆今後が楽しみです〜♪
桜@携帯から
2006/08/05 17:57
なるほどー!つながっているのねスト−リーが♪楽しみです!!
SHINE
2006/08/05 19:43
そうか…。お話が繋がってるんだね。はい、桜ちゃんの所も時々覘いてたんで、分かってるよ。その出産が大変だったことね(笑)
光一さん…そんなに何年経っても、ラブラブなのねぇ。(笑)
やっぱり、ミユは光一さんにそっくりなのかしら…。
チビにゃん
2006/08/06 10:45
ボク羽根の続きはRainに委ねられたと言う訳ね?ミユの高校生活が中心になるのかな…突然進路を変えられたミユ…拗ねなきゃいいけど。
WAO
2006/08/06 16:38
桜♪ ミユ、大きくなったでしょ?背も伸びたし、もちろん声変わりもしましたぁー♪

SHINE♪ 「ボク羽根」読まなくてもわかるようにはしてあるけど、読むと一層楽しめます♪

チビにゃん♪ ラブラブなのよー。ミユのルックス、両親のえぇとこ取りしてまっせー♪

WAO♪ そうです。彼の美しき(?)十代を中心に物語はすすみます。相方はいつ出るのか?しばしお待ち下さいませ!
Rain
2006/08/06 22:05

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