硝子の少年たち 73 -Cross編-

広い駐車場、最も店から離れた場所にその車は停まっていた。

目立つ車だから、すぐにわかると思ったのだろう。彼はぼくが来るまで、偉そうに車の中で待っていた。已然として、キャップを被り、サングラスもかけたままだった。

あんたさー、いったい、何様のつもりだよ?

ぼくが車のそばに寄ると、あたりを見回してから降りてきた。すらりとした体型のわりに、Tシャツからのぞく腕にはほどよく鍛えられた、きれいな筋肉がついていた。

「何処いくつもりやったん?」
「だから何でそれをあなたに言う必要があるんですか?」
気になるから、気になるいうてんのやっ!?なんや思いつめた顔して、いきなり飛び出して行って、このまま身投げするんちゃうかって思ったわ!」
「そんなことしませんよ」
「あーそれは今、顔見て、よぉわかったわ。君、そういうタイプちゃうわ」
「それ、どういう意味ですか?」
「それも含めて、話は店に帰ってからや。乗り」
彼は車の助手席を示した。
「乗りません。帰りません」
「もぉ~たのむわー。君、連れて帰らんと俺が困んねん」
「……あぁ、そっか……」
「あん?」
デート中だったんですよね。すいません。邪魔しました。ぼくのことならご心配なく。とっととお帰り下さい」
ぼくは自転車のペダルを踏んだ。

待たんかい、こらぁ! 」

彼が自転車の前に立ちふさがった。

うわぁっ!?

ブレーキをかける間がなかったので、あわててハンドルを切った。ぼくはバランスを崩し、焼けたアスファルトの上に倒れた。

「あぁっ!ごめん、大丈夫?」
「痛ってぇ……」
「どこが痛い?腕か?」
ぼくはうなずいた。どうやら肘を打ったらしい。
「どれ、見してみ?」
彼がサングラスを外した。おや……?どこかで見たことのある顔だ。
「こうするとどう? 痛い? 平気?よかった、骨に異常はなさそうやな…」
彼はぼくの腕を取り、ゆっくりといろんな方向に曲げた。その間、ぼくはずっと彼の顔を見ていた。

確かに、この顔、どこかで見た………?

「皇様?」
「……え……?」
彼がぼくの顔を見た。
「そうだ!間違いない!」
この顔、こまちの部屋で見たことあるっ!

堂元皇一っ!堂元皇一っ!

「……指差すなっ!しかも呼び捨てかいっ!」
「あーえー、うそー、え? なんで、こんなところにいるんですか?」
「……アホちゃうかコイツ……」
「友達がすっげーファンなんですよ! 寮の部屋の天井にこーんなでっかいポスター貼っていて…」
こまちに逢わせてあげたかったなぁ!こんな間近で見たら、きっと、あの甲高い声で、

きゃぁぁぁぁぁぁぁっ! 」

そうそう、そんな風に叫ぶに違いない……って?

コーさまがいるーっ!KinKingdomの皇一がいるー! 」

どうやら店内にいた客が彼に気づいたようだ。身内に元アイドルを持つぼくは、囲まれることの大変さを身を持って知っている。
「堂元さん、逃げましょう」
「はっ?」
「自転車、どこにいれたらいいですか?」
「あ、えっと、ほな、ここに」
折り畳んだ自転車をトランクルームに放り込み、ぼくは助手席に滑り込んだ。シートはレーサー仕様になっており、抜群のフィット感だった。
「うぁ、すっげぇ♪ 気持ちいー♪」
「お?わかる?これなぁ走ると、もーっと気持ちえぇねんで、何にしろこの車はだな…」
彼は得意気にこの車の性能を語り出した。車オタクという噂は本当のようだ。
「堂元さんっ!早く出ないと、囲まれちゃいますよ?車、傷だらけになっちゃいますよ?」
「あぁぁっ!そら、アカン!」
彼はアクセルを強く踏み込んだ。

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この記事へのコメント

2007年04月07日 20:08
本当にゴージャスなストーリーで涙がちょちょぎれるほど嬉しいよ♪
目の前に皇さまを拝顔したら、思わず呼び捨てにもなるよねぇ!!
だって、光ちゃんだもん(ごにょごにょ;)
ってか・・・私なら絶句するよって私のことはどうでもいい!!
ここは、大人の皇さまに相談にのってもらっちゃいなよぉ!YOU!じゃなくてMe!(ミィ)
オミはオミで、きっと何かあったのかも。
キャー!それも心配だわ!!
もも
2007年04月08日 00:25
この2人の雰囲気とっても好きです♪似ているようで似てない2人…。身内に元アイドルがいても、皇さまをみたらこうなっちゃいますよね♪皇さま、やっぱりケガには詳しいんですね!そういうディテールがたまらなくすきです(≧▽≦)
2007年04月08日 03:12
うわ~♪皇様まで出てきた~♪(爆)
本当に羨ましいんですけど…この世界が。
いいなぁ~♪こまちくんならずとも…きゃぁぁーーー!だよ…。
ミィ!ここは、皇様にご相談を…。皇様なら頼りになるよ?
すっごい、できた人だから…(爆)
Rain
2007年04月08日 13:32
SHINE♪現役シンガーでもシュウは、あくまでも叔父さんだからね~。しかも今をときめくアイドルだったから、さすがのミィも舞い上がり、天然大炸裂しております。天然×天然だよ?このふたりが深刻な話できると思う(笑)
Rain
2007年04月08日 13:40
ももちゃん♪小生意気な奴め!と思いつつも気になっちゃう。彼の優しさを表現しました。
ミィが彼の優しさに気付くのは次のシーンで♪
夢のコラボ、あと少しだけです…。
Rain
2007年04月08日 13:42
チビにゃん♪私も桜桃寮食堂のお姉さん(殴)か、売店のお姉さん(蹴)になりたいです。
相談できるかなぁ…?だって皇様、白馬でなくて愛車に乗ってるんですもの…ふふふ♪
愛戦士桜
2007年04月08日 20:47
皇さま、決して「偉そうに」してはいないと思うんだけどね(笑)
ミィも十分 アイドルのビジュアルしてるからこの2人がいたら 特別なオーラが出てそう★
皇さまがミィの腕を心配して触っているところも元ネタはIコンのあの2人のいちゃいちゃだよね♪んふふ^^
Rain
2007年04月08日 21:06
愛戦士桜♪皇様は騒ぎになるのを警戒して車の中にいただけなのにね。相手が愛しの相方さんじゃない分、真剣モード入ってるかも?それに自分で自分を触ってるようなものしねぇ…見ようによってはちょっと妖しい?(うへへへ♪)

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