龍の涙・鏡の血76 涙の章(8)

なぜだ?なぜ、俺に殺気を向ける?


ミラーは剛龍の胸を蹴飛ばすと立ち上がった。剛龍はすぐに態勢を立て直すと、背中へと手をやった。
「ミラー将軍!奴は背中に剣を隠し持っています!」
マーティは再び、剛龍に向けて銃を構えた。
「マーティ!聞け!良いか、これは大将同士の戦い。その方、絶対に手を出すな!」
「しかし!」
「これは私からの命令だ!もし、私が負けても、お前がこの男と戦うことは断じて許さぬ!お前はこれから起こること全てをその眼で見届け、真実だけを後世に伝えよ!これはお前にしか出来ないことだ!良いな!わかったか!」
「はいっ!仰せのとおりにいたします!」
マーティは銃をおろし、ミラーに敬礼を返した。


剛龍はゆっくりとその剣を抜いた。
はじめて持つ剣だというのに、不思議とそれは手になじみ、生きているかのような熱さを持っていた。
「行くぞ!」
剛龍はミラーに向かって斬りかかった。ミラーはそれを難なく交わした。
「剛龍……なぜだ?なぜ、わたしたちがこうして争わなければならぬ?そこに何の意味がある?」
だが剛龍はその問いには答えず、再びミラーに剣を向けた。ミラーは今度は紅い瞳の龍でそれを受けた。すると雷鳴が轟き、黒雲を裂くように稲妻が光り、ふたりの上に雨が落ちてきた。

「はぁっ!」
「やぁっ!」
「とぉっ!」
「えいっ!」

剛龍の剣が打ち込み、ミラーが受ける。ふたつの剣がぶつかり合うたびに、黒い空に稲妻が光り、雨が強くなっていった。ふたりの足元はぬかるみ、踏み込むたびに泥が跳ねた。


剛龍、なぜだ? なぜ、泣いている? その頬を濡らしているのは雨じゃない。お前の両の瞳から零れ落ちている涙だろう?この雨と、その涙で、もう俺の姿など見えていないのではないか?その気力だけで向かっているのだろう?たのむから、もう二度と、殺気は向けないでくれ。それを感じたが最期、俺はお前を斬らねばならない。お前を殺さなければならない。お願いだ。それだけはさせないでくれ!


この世の全ての怒りよ、憎しみよ、哀しみよ、我が剣に集え。
その全ての苦しみ、我が背負い、愛と正義の剣に断ち切ってもらうぞ!
さぁ、ミラー、斬れ!私を斬れ!


まさか?剛龍は俺に斬られたがっているのか? それで、わざと殺気を向けるのか?


ミラー、何をためらっている!これで何もかもが終わるのだ。
さぁ、早く、私を斬れ!斬れーーーーーーーーっ!!!


剛龍――――――やめろーーーーーーー!!!!




うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!


ミラーは声をあげ、剛龍に向かって、斬りかかっていった。

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この記事へのコメント

SHINE
2008年02月04日 20:54
呪いの言葉が、頭をよぎります。
悲劇の予感・・・。剛龍さまが、斬られたがっているなんて、哀しすぎるよ・・・。
愛戦士桜
2008年02月04日 21:12
悲しいね…なんも言えん。だけどちゃんと見てるから。Rain頑張って!
WAO
2008年02月05日 01:35
あたしも感想が上手く書けない…何で剛龍はミラーに刃を向けるの?呪いが剛龍を動かしてるの?疑問だらけ…
Rain
2008年02月05日 19:48
SHINE★すまんのぉ~。もうすぐ、終わるから。
もうちょっとだけつきあってね。
Rain
2008年02月05日 19:51
愛戦士桜★がんばったで~。ラスト2話。どんな展開になってるのか!?泥沼2号の名に恥じない仕上がりです(自慢になるか!)
Rain
2008年02月05日 19:54
WAO★ミラーと同じ心境ってことだよね。謎は今夜…解けるかな…?あと2話!このしんどさもあと少しで終わるよ~(笑)

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