Peace!60

あぁぁぁ、もぉ、バカバカバカバカバカ、 光助のバカっ!


こんなことなら、付いて行ってやればよかった!


話を聞いていたときから、なんとなくそんな予感はしていた。

竜次の友達が言っていたことはまんざら嘘ではなく、おそらく彼女は誰かに心を移しかけているのだと思った。
でも、いまはまだ揺れているときで、きっと彼女は竜次が迎えに来てくれるのを待っている。逢いに来てくれた彼の姿を見れば、その揺れも治まる。きっともとの鞘に収まる。


おれの希望の灯を消さないためにも、そうあってくれ!!


と、彼に自分の願いを託して連れ出し、祈るような気持ちで送りだしたのだった。

だけど、さっきのふたりの姿を見てわかった。

もう彼女の中に竜次の存在はない。

あの繊細な竜次がその事実に耐えられるか?それを思うと自分のこと以上に胸が痛んだ。

竜次がふたりに遭遇する前に、なんとか連れ戻さなければ!あぁ、でも、どこっ!?


どこにいるんだよぉぉぉぉっ!?


光助は携帯を取り出し、今日、警察の書類で確認し、登録したばかりの竜次の携帯電話に発信した。だが、呼び出し音は鳴るものの一向に出る気配がない。何度もかけてみたが同じことだった。

まさか、今、まさに修羅場を迎えて電話に出ているどころではない!?

間に合わなかったーーーーーっ!?
あぁぁぁ、もぉ、バカバカバカバカバカ、 光助のバカぁぁぁぁっ!

「…っ!?」

不甲斐ない自分に腹が立ち、携帯を道路に投げつけるところだった光助を踏みとどまらせたのは、聴いたことのある着信音が耳に入ってきたからだ。たしか、この曲は竜次の携帯電話に、彼女からの電話として登録されている歌だった。その歌声は歩いていた道のすぐ脇にある公園の中から聞こえる。光助は音のする方へ走って行った。

どこだ?どこだ?どこだ?

ベンチ? すべり台? 鉄棒? シーソー?

音が停まった。と、同時に光助は彼の姿を見つけた。

彼はブランコに座っていた。手にした携帯をしまうと、ゆっくりとブランコを漕ぎ出した。

最初はその規則正しい揺れを楽しんでいるようにみられた。
が、次第にブランコの揺れるスピードがあがって行った。

誰もいない公園で、まるで何かから逃れるように必死の形相でブランコをこぐ成人男性に声をかけられるのは職務質問に長けた警察官か、何も考えていない酔っぱらいぐらいだろう。
あいにく、光助はそのどちらでもない。

竜次が気付くまで、ここでこうして、見守っているしかないのだろうか?

と、その時、夏のくすんだ夜空に向かって、何かがきれいな放物線を描いて飛んで行った。ブランコに乗っていた竜次があわてて片足を地面につけて、揺れを止めた。

どうやら飛んで行ったのは彼の靴のようだ。

が、竜次はそこから動こうとしなかった。

ブランコがきぃきぃともの哀しい音をさせ、揺れていた。

この記事へのコメント

愛戦士桜
2009年07月19日 23:17
リューちゃんに事情を聞く前に知ってしまったコースケ(ToT)
…靴拾ってあげなきゃね…(>_<)切ないねぇ…(ノ_・。)
でもこのシーン、すごく好きだな♪続きが楽しみ( ̄▽ ̄)
Rain
2009年07月20日 15:16
愛戦士桜★ありがとう~♪でしょー?まず、靴を拾ってあげなきゃ。そこからだよね(笑)たぶん光助ならこうするだろうな…という形でこの後のシーンは作ってみました。
チビにゃん
2009年07月20日 21:01
もぉ、バカバカバカバカバカ、 光助のバカ…って、竜さん探してる光さん…なんか可愛い…。
私の頭の中の光さん、「バカバカ!」って自分の頭をバシバシ叩いてた…(笑)
あぁ~竜さん、一人でブランコこぎこぎ…。切なぁ~い静かな公園に響く、ブランコのきぃ~きぃ~って音が寂しいよぉ~
光さん…竜さんを頼むよぉ~
Rain
2009年07月21日 19:48
チビにゃん★光助の心の中にいる、mini光助はそれやってると思う(笑)実はここの流れのシーンが前半部分で最も描きたかった、映像として撮りたかったシーンになります。公園の向こうの街は喧騒なんだけど、ふたりのまわりのその静けさ…がねまた…いいわけさ(笑)

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