ナイツ・テイル-騎士物語-観劇日記 その1

それは真夏の夜の夢・・・・・・。

酷く暑い日が続いております。みなさま、いかがお過ごしでしょうか?
先日、そんな酷暑の中、帝国劇場で上演されている「ナイツ・テイル―騎士物語―」を観てまいりました。

お友達の厚意に感謝しながらチケットを手にウキウキしながら(でも顔はちょっとだけおすましして)帝国劇場に足を踏み入れました。

と、その瞬間、身体が沈みました。踏み出すとまた沈みます。まるで底なし沼です。なんだろうと思って足元を見ると、紫の絨毯にパンプスが埋もれていました。

・・・・・・こんなところに体重増加の影響が出るとは・・・・・・

と、気持ちが沈みかけたその時「絨毯がふかふか!」という声があちこちから聴こえました。

おぉ!なるほど!そうか!これは私の体のせいではなくリニューアルされた帝国劇場の絨毯が変わったせいだったのか!気持ち、再び上昇です。帝劇の絨毯、かなりやわらかいです。階段の上り下り時は足を取られることもありますのでお気を付けくださいませ。


劇場内に入ってまず思ったのが「暗い」。いつもなら(Endless SHOCK時ね)前方に映像が映し出されているのでそれなりの明るさがあるのですが、本舞台、すでに緞帳は上がっており、そこに舞台装置が剥き出しで在るにもかかわらず暗く、なかなか目が慣れませんでした。ようやく全貌が見えてくると、その舞台装置が何かの形に似ていることがわかりました。我が家のお隣さんの軒下に作られた「ツバメの巣」でした。でもそのツバメの巣は物語が始まると戦場になり、宮廷になり、塔のてっぺんになり、牢獄になり、森にまでなるのです。そこにすべての世界がありました。ツバメの巣の中をのぞいたことはありませんが、ひょっとしたらそこにはツバメたちにしか見えない世界が広がっているのかもなんて思ったりして。

舞台は炎のリングから始まります。初めはダンサーたちは炎の中に留まっていますが、一人、二人、三人と炎のリングに出て行きます。ダンサーの躍動する身体と相俟ってこのオープニングシーンはかなり強烈でした。
ぽかんとしているとふたりの騎士、アーサイト(光一さん)とパラモン(芳雄さん)が登場して歌っていました。
最上手後方の席だったのですが、んまぁーーーー!ふたりとも声がよく通ること!(←当たり前)滑舌も良いので、歌詞カードがなくても何を歌っているのかがよくわかりました。
「えぇぇ?ここでそんなこと言っちゃっていいの?(笑)」という内容でした(笑)

アーサイトとパラモンはテーベの騎士です。このテーベという国の王クリオンが酷いのなんの。そのクリオンはほとんど(おそらくひと言も)セリフがありません。それなのにクリオンという男の傲慢さと残虐性が見事に演出されていました。アーサイトとパラモンもクリオンの行いに疑問を持ちながらも、テーベの騎士であるという名誉・掟に準じ闘っています。ブラック企業に務めているホワイト社員とでもいうのかな。私にはそう見えました。

そのクリオンを征伐したのがアテネ国の大公シーシアスです。まぁこのシーシアスも戦った国の女王を捕虜として連れ帰る人なのですが、クリオンよりはずっと物分かりが良い方です。で、ここであれ?と思ったのです。シーシアスとヒポリタってどこかで聞いた名前だなぁと。でもそこに留まっていては物語においていかれちゃうのでスルーしていました。そしてそのクリオンの元にいた英雄ふたり、アーサイトとパラモンを「生かしておいては危険であるけど殺すには惜しい」ということでシーシアス大公はふたりを捕虜にし、牢獄に入れます。シーシアスのお気に入りコレクションがまた増えたというわけですな←違う

その牢獄でアーサイトとパラモン、身体は囚われの身ながらも、もう嫌な奴のために戦う必要もない、我らの心は自由とばかりに牢獄生活を謳歌します(←そうなのか?)
シーシアスの捕虜でもある、ヒポリタは「同じ捕虜でありながら私は宮廷にいる。だが私の心は牢獄に閉じ込められたままだ」とつぶやきます。ここ考えさせられましたね。能天気な男と、思慮深い女と、対比にもなっているのかな。

さてそんな能天気な(失礼な)ふたりが見初めてしまったのがシーシアスの妹、エミーリア姫。

「いやいやいやいや、いくらなんでもそれはないでしょ(笑)」

と、思ったのですが、ふたりだけの牢獄生活にそろそろ飽きも来て、かつて騎士として生死をかけギリギリでいつも生きてきたふたりがこのままここでどよーんと朽ち果てるのもなんだかなー何か刺激が欲しいなーと思っていた矢先に美しい人が現れたら、そりゃ「彼女のために生きたい!」と心が傾くのも無理もないことかなと。

だって、ほら「絶対的な美」は人を惑わせるから。←アーサイト、あなたのことよ!

そのときはそんなに想っていなくても、それを口にし、その人のことを話していると「あれ?あれれれ?」となり、気付けばともに沼落ち・・・・・・な状況だったのかもしれない。後々、エミーリアが高貴な魂の持ち主で、実に聡明な女性であることがわかるので、その輝きが外面にも出たのだろうなぁと納得しました。

やがてアーサイトはアテネの国を追放(彼の親戚が保釈金を積んだらしい。アーサイトはえぇとこのぼんぼんやで)され、パラモンだけが牢獄に残されます。
自由になったはいいが、アテネには二度と戻るなと言われたアーサイト。
牢獄につながれたままだが、アテネには残っているパラモン。
「どちらがよりエミーリア姫に近いところにいるか?」お互いがお互いの境遇に嫉妬します。←あほか(笑)

でもどちらもさすが元騎士です。チャンスの女神の前髪は逃さない。
能動的にチャンスを引き寄せるのはアーサイト。小さいけれど大胆不敵、度胸満点、この人は自分が動くことで数多の戦場を戦い抜いてきたのだろうなと思わせます。
受動的にチャンスを引き寄せるのはパラモン。大きいけれど甘え上手、愛嬌満点。この人は周りの人が動いてくれて、なぜかみんな彼のために動きたくなる(←アーサイトもそうだったのかも)魅力を持っている。それで生き残ってきたのだろうなと。

アーサイトは名前を偽り、エミーリア姫の誕生祝賀会に参加する森のダンサーチームの一員になります。そのダンスシーンを観ていてふと思ったのです。シェイクスピアの「真夏の夜の夢」で村人たちが国王の結婚式を祝うために芝居の稽古をする場面っぽいなと(素人集団っぽいとこが・・・)で、「はっ!」と気付きました。
その「真夏の夜の夢」こそ、ふたりの男がひとりの女を巡って戦うしっちゃかめっちゃかの喜劇で、村人たちが祝うのがまさにシーシアス大公とヒポリタ女王の結婚であったことを!この「真夏の夜の夢」といえば「惚れ薬」(眠っているもののまぶたに垂らしておくと目が覚めて初めて見たものに夢中になる)なのですが、アーサイトとパラモンのまぶたにも「惚れ薬」的な何か、運命を変えるものが塗られていたのかもしれません。だからエミーリアにひとめ惚れしたんだわ(笑)ひょっとしたらその「惚れ薬」なるものを塗ったのは妖精パックの生まれかわり?
牢番の娘だったりして・・・‥(←牢番の娘もとにかく素晴らしい!パラモンと一緒に歌う姿、せつなかった!)

だってそのおかげでみんなが「この世に生きるあらゆるものにとって最も大事なものは何か」がわかるのだから。「ひとめ惚れ」万歳!

男って、なんて見栄っ張りで、愚かで、勘違いなアホの子なんだろう(笑)と可笑しく愛らしくなり、そしてなんて窮屈なところで生きているのだろうと同情してしまいました。対して女は実に聡明で賢明で、とても自由に生きていて、なんだかんだいってこの世は女性が動かしているのだと感じました。

豪華なキャスト陣、練られた物語、シンプルなのに変貌自在な舞台装置、美しい音楽、
それらが一堂に会した作品が2018年夏の「ナイツ・テイル」これまさに「真夏の夜の夢」のごとし!
余談ですが、「真夏の夜の夢」にフィロストレートという登場人物がいるんですがね、アーサイトの偽名ってフィロストレートじゃありませんでした?
ちなみにフィロストレートはシーシアス大公の宮廷芸能係なんですわ。

以上 ナイツ・テイル-騎士物語-初見でのざっくりした感想です。

おまけ
「ナイツ・テイル」では「旧い掟などいらない」というテーマもあった気がするんですが、この夏公開「銀魂2」のサブタイトルも「掟は破るためにこそある」だったよね。こんなところでもKinKi Kidsを感じてなんだかうれしかった私でした。