テーマ:龍の涙・鏡の血

龍の涙・鏡の血 ありがとうございました。

終わりました! ふたりが泣きながら戦うシーンが描きたい。それも神話のような世界で…。 という、極悪非道な妄想からはじまったこの物語。読み手もつらかったでしょうが、書き手にとっても、かなり、しんどい物語でした。 これまで一度も手をつけたことのない(むしろ避けていた)世界、三人称表現(やはり難しい!)、どう考えても大団…
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龍の涙・鏡の血78 涙の章(10)

それはもう言葉でもなく、剛龍の声でもなかった。 剛龍の体に異変が起きた。ミラーを抱えていた手にはびっしりと鱗が生え、それは腕へ体へ足へ顔へと広がっていった。胴は細く長く伸び、その先に長い尾が出てきた。口は大きく裂け、長い髭が生え、ふたつの空洞がある、大きな白い龍へと変った。 龍が吠えるたびに空には雲が集まり、稲妻が光り、…
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龍の涙・鏡の血77 涙の章(9)

「うぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!」 ミラーの剣は剛龍の剣を弾き飛ばした。剛龍の手を離れた剣は宙を舞い、それはミラーの左手へ吸い込まれるようにして、おさまった。剛龍の剣にも龍が刻まれていた。その貌形はまったくミラーの右手にあるものと対を為すように作られており、しかも、龍の瞳には碧い宝石が埋め込まれていた。 「……こ……これ…
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龍の涙・鏡の血76 涙の章(8)

なぜだ?なぜ、俺に殺気を向ける? ミラーは剛龍の胸を蹴飛ばすと立ち上がった。剛龍はすぐに態勢を立て直すと、背中へと手をやった。 「ミラー将軍!奴は背中に剣を隠し持っています!」 マーティは再び、剛龍に向けて銃を構えた。 「マーティ!聞け!良いか、これは大将同士の戦い。その方、絶対に手を出すな!」 「しかし!」 「これ…
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龍の涙・鏡の血75 涙の章(7)

ミラーとマーティは艶鳥蹴狗が落ちたと思われる方向へと走って行った。 剛龍、どこだ?どこにいる?  鬱蒼とした森の中をミラーとマーティは探し歩いた。それを目にしたくないせいなのか、ミラーにはだんだん、まわりの風景が見えなくなっていた。この眼でそれを確かめるくらいなら、このまま何も見つからない方がいい。その方がまだ、いくらか…
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龍の涙・鏡の血74 涙の章(6)

一方、ミラーは馬を走らせ、龍の国への道を急いでいた。 ついて来るなと言うのに、「その後をどこまでもついてゆきます」という言葉どおり、マーティ少佐は必死になって追って来た。が、みるみるうちに、その間は離れ、ミラーの後ろには、もう誰も、何も見えなくなっていた。 もしトーヤがミラーの兄だとしたら、彼が死んだことで自分の呪い…
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龍の涙・鏡の血73 涙の章(5)

長い黒髪をなびかせ、颯爽と走るあの男は!? 東の国の長、紀長であった。 鏡の国が一方的に龍の国に攻め入ったことが紀長の耳に入ったのは、ほんの数時間前のことであった。紀長はすぐにでも兵を挙げ、龍の国を救いにゆくつもりであった。だが、国の重鎮たちはそれを止めた。 「なぜだ!なぜ、行ってはならぬ!」 「行けば間違いなく…
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龍の涙・鏡の血72 涙の章(4)

剛龍は仕度を整えると、父王の臥す庵へと向かった。 ここへはもう戻って来られないかもしれない。 もし、そうなったとき、この国を誰に託すことになるのか。剛龍はそれを聞き届けてから、旅立ちたかった。だが、庵の前に来たとき、そこがいつも以上にひっそりとしていることに気付いた。それは扉の番をしている小姓がひとりもいないせいではない…
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龍の涙・鏡の血71 涙の章(3)

剛龍のひと言が思いもよらず、誤解を招いたようだ。 「ミラーだって!?」 「あいつ……生きているのか!?」 「やはり、これは全てあいつが仕組んだことなんだ!」 「最初から侵略が目的で、この国に入ったんだ!」 「あの恩知らずめ!」 「こんなことになるのなら、助けるんじゃなかった!……」 「おい…ちょっと…待て…」 …
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龍の涙・鏡の血70 涙の章(2)

艶鳥蹴狗の背に乗った剛龍の眼に入ってきたのは、黒い塊となって動いてゆく鏡の国の兵士たちと、紅い炎に包まれた街だった。 城門は崩れ落ち、鏡の国の兵士たちが取り巻いていた。剛龍は内側から沸き起こってくる怒りや憎しみを必死に押さえ込んだ。彼らの姿を見ないよう、そして彼らに見つからないよう、出来るだけ高い位置を飛び、緊急時の避難場所と…
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龍の涙・鏡の血69 涙の章(1)

峠からの帰り道、剛龍は何度も強い気の乱れを覚えた。 何か大きな事が起こっているようだ。父王の容態が急変しているのではないかと思った剛龍は、馬の足を速めた。 と、何やら無数の蹄の音が聞こえてきた。この走らせ方は旅の人間のものではない。隊列を組み、足並みを揃えて進む、軍隊のものに間違いなかった。 何ゆえ、ここに軍隊が…?し…
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龍の涙・鏡の血68 血の章(10)

トーヤとミラーだけを残し、鏡の国軍は再び、龍の国へ向かった。 ミラーの体は悲しみに震えていた。自軍の戦い方を知り尽くしているだけに、龍の国への仕打ちがどのようなものだったかは、容易に想像できた。そして彼が胡蝶にしたことを思うと、体中の血が逆流するほどの怒りを覚えた。 「トーヤ!お前のやったことがいかに卑劣で、汚らわしく、…
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龍の涙・鏡の血67 血の章(9)

鏡の国の軍は見張りの隊を残し、ひとまず引き上げることにした。 「トーヤ将軍、お怪我の具合はいかがでしょうか?」 眉間に皴を寄せ、額に脂汗をかいているトーヤにカザマ大佐が尋ねてきた。 「こんなもの、かすり傷だ」 ふいをつかれて刺されたがしょせん女の力。たいした深さではなかった。 「しかしトーヤ将軍、どこかできちんと手当てしな…
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龍の涙・鏡の血66 血の章(8)

「それ以上、近寄るな!」 胡蝶は短剣を抜き、トーヤに向けた。 「……そうか…そういうことだったのか?」 「?」 「目印がついているとは、このことだったのか…」 「目印?」 「この国の王女に目印をつけておいた。その女を捕らえて、人質にしろと、ミラー王子から伝令をもらっていたのです」 「偽りを申すな!」 「可哀想に……
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龍の涙・鏡の血65 血の章(7)

トーヤはひとつひとつの部屋の扉を開け、中を確認して行った。 ほぼ、この国を手中におさめたといっても過言ではなかった。この国の王子とやらについてはミラーを送ったあとの帰り道に軍隊を一個配置しておいた。飾り物のような男ということだ。その首を獲るなどわけないだろう。ミラーについても、たとえ彼が類まれな武将だとしても、イクタ准将を筆頭にエ…
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龍の涙・鏡の血64 血の章(6)

突然やってきた軍隊に、それまで戦などとは無縁の生活をしていた龍の国の民は、なすすべがなかった。 街には火がつけられ、人々は逃げ惑い、親を殺された子供が泣き叫んでいた。龍の国の軍は実戦に乏しく、城門の守りを固めるだけで精一杯だった。 「剛龍さまが戻られるまでは、俺たちで何とかしよう!」 蛇良率いる自衛団が生き残っている民を安…
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龍の涙・鏡の血63 血の章(5)

ミラーはどうすることが鏡の国にとって、そして自分や、マーティ少佐にとって最善かを考えていた。 ミラーとしてはすぐにでも鏡の国へ戻り、父の仇を討ち、王位を取り戻したかった。しかしマーティ少佐は命令違反を犯している。今、彼が国へ戻るのは危険だ。たとえ自分が鏡の国へ戻ること叶わず、命果てたとしても、彼にだけは真実を伝えるものとして生き残…
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龍の涙・鏡の血62 血の章(4)

国が何といおうと、そういう命令であろうと、マーティにはミラーが死んだと思う事など出来なかった。 彼の遺体がまだ見つかっていないという事実だけが、彼にとって唯一の望みだった。そのかすかな光だけをたよりに生きてきた。口は出さなかったが、いつの日か、またミラー将軍の下で働ける日がくる事をひたすら信じ、得意の暗号解読に加え、情報収集・操作…
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龍の涙・鏡の血61 血の章(3)

それは、ほんの一瞬の出来事であった。 イクタ准将の「撃て!」の命令前に一発の銃声が響いた。 と、銃を構えていた兵士、四人がミラーの眼の前で、ほぼ同時に倒れていった。 「お前!?何をっ!?」 そしてもう一度、銃声が響き、イクタ准将が落馬した。 四人の兵士はみな、こめかみを打ち抜かれていた。イクタ准将は額の真ん…
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龍の涙・鏡の血60 血の章(2)

イクタ准将らはそんな彼らを黙って見ていた。ミラーはそれは、彼らが心情を理解してくれたからだと思っていた。 だが剛龍の後ろ姿がすっかり消え、馬の蹄の音が聞こえなくなったとたん、彼らの態度は豹変した。兵士達がいっせいにミラーに向かって銃を構えたのだ。 「イクタ准将、これはどういうわけだ?」 イクタ准将はそれには答えず、兵士にミラー…
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龍の涙・鏡の血59 血の章(1)

そして、ミラーは帰国の日を迎えた。 その前夜。ミラーは胡蝶に自分の名前が記された短剣を渡していた。 「…本来、こういうときは指輪を渡すものなのだろうが、あいにくそのような準備が出来ず……ごめん!」 謝るミラーに胡蝶は「あなたらしい」と笑い、その短剣を受け取ってくれた。だが、この約束はふたりの間だけで交わされたものであった。彼女…
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龍の涙・鏡の血58 怪の章(17)

宴が終わると、ミラーは急いで自室へと戻った。 そしてテーブルの上に積み上げられた古い書物を再び、開いた。 「誓いの夜……誓いの夜って……何だ?どういう夜だ?」 夜というのだから、この闇の中で何かを誓うのだろう。それは何に?月か? だが今夜は新月にあたっており、月はその姿を隠してしまっている。ならば星か? だが今夜は夜空に雲…
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龍の涙・鏡の血57 怪の章(16)

主だった大臣からの挨拶と労いの言葉、賛辞を受け終わり、ようやくミラーは、ひと息ついていた。 ふと会場内を見渡すと、さっきまで見えていた胡蝶の姿がない。なんとなく、こちらを気にしていたような気がしたが、それは自分の勝手な思い込みだったのだろうか? ミラーは急に気持ちが沈んでゆくのを感じた。と、そんなミラーの様子に気付いたのか、元気の…
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龍の涙・鏡の血57 怪の章(16)

「民が大勢、集まってきております」 「何!?」 「みな、おふたりにお礼を申し上げたいそうです」 「斑狩人を退治したことのか…?」 「はい!」 「…では…ミラー…先に…」 「何を言っている!ここはお前の国だろう?まずはこの国の王子が先に姿を見せるべきだろう?」 「いや、でも俺、まだ、こんな格好やし……」 「おい、そ…
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龍の涙・鏡の血56 怪の章(15)

ふたりが湯からあがると、剛龍の部屋に何やら荷物が運び込まれていた。 木で作られた箱や、周りに布を貼った化粧箱など様々なものであった。 「これは…なんだ?」 剛龍は運びこまれた荷の番をしている小姓に尋ねた。 「鏡の国からのお届け物にございます」 「鏡の国?」 剛龍とミラーは顔を見合わせた。と、そこに外務大臣が入ってきた…
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龍の涙・鏡の血55 怪の章(14)

「剛龍さまがお戻りになられたぞ!」 城門をくぐり、艶鳥蹴狗から降りたとたん、剛龍とミラーは大勢の官僚や女官に囲まれた。 「剛龍さま、よくぞご無事で!」 「剛龍さま、お怪我はございませんか?」 「剛龍さま、お疲れでしょう…」 が、 「兄上! 」 ひときわ高く響いたその声に、剛龍たちを取り囲んでいた官僚たち…
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龍の涙・鏡の血54 怪の章(13)

剛龍、ミラー、蛇良の三人は、犠牲になった黒装束の遺体と斑狩人をそれぞれ埋葬した。 黒装束の者については、剛龍がごく簡単ではあるが弔いの儀式を執り行い、故人の冥福を祈った。その後、三人は河原へ向かい、体を洗った。ミラーは、全身に返り血を浴びており、洗い流すたびに、彼の周りの水は紅く染まった。 「なんだか……まるでミラー様が…
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龍の涙・鏡の血53 怪の章(12)

蛇良はふたりに笑顔を見せると、斑狩人の真正面へと飛び降りた。 斑狩人(はんたー)は眼の前に降りてきた蛇良を見つけると、威嚇のためか、二本足で立ち上がった。そして鋭い爪をつけた前足を蛇良に向かって振り降ろした。蛇良は寸前で避け、木の上に飛び乗った。 ミラーの頭の中に斑狩人を一発で仕留める方法が浮かんだ。 「剛龍、何か武器を持…
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龍の涙・鏡の血52 怪の章(11)

と、突然、斑狩人(はんたー)が叫び声を上げた。 奴の片方の目に矢が刺さっていた。あっと思う間もなく、次の矢が奴の脇腹に刺さった。 一体、この矢はどこから? そして誰が? さきほどの黒装束の集団とは腕が違う。的を狙う技術はもちろんのこと、粘膜に覆われたような皮膚に矢を刺すということは、そこに相当な速さと重さがかかっ…
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龍の涙・鏡の血51 怪の章(10)

それを合図に無数の矢が背後から放たれた。 ミラーはそれらをたくみに避けて走った。と、突然、片足を取られ、逆さになったまま、引き上げられた。 「うわわわわわぁぁっ!? 」 ミラーは仕掛けられた罠にはまってしまったのだ。 「ったく…!こんなもんがあるなら、あるって、言ってといてく…れ?」 木の幹に吊り下げら…
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