テーマ:DaysⅠ

Days308 「AOZORA」 晴 2×××年××月××日

全てが君になる……。 とても気持ちの良い日だった。部屋に射し込む陽はおだやかで、風はさらさらと吹いていて、ツーリングには絶好の日和だった。 「ねぇ、晴」 さっきからずっと窓の外の高く澄みきった青い空を眺めていた美勇起が、俺を呼んだ。 「ん?」 「丘の桜、咲いたかなぁ…」 「丘って、どこの?」 知っていて、わざと聞いてみ…
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Days307 「君よ、ぼくの望みの喜びよ」 晴 12月25日

君と生きてゆきたい…。 一瞬、何が起きたのかわからなかった。 呼び止められて振り向いたら、大きなクリスマスツリーの陰から、真っ白い羽根を広げた美しい天使がこっちに向かって駆けてきた。 「晴!」 頬を紅く染め、白い息を吐きながら俺の名前を呼び、その宝石みたいな瞳でまっすぐにこちらを見ているのは、まぎれもなく、俺の良く知って…
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Days306 「SNOW!SNOW!SNOW!―H―」 晴 12月25日 

無力な雪よ 二人の愛は 未来の孤独…。 クリスマスということもあって街には人が溢れていた。コンペでアルコールを扱うため、バイクは置いてきた。人の波をかきわけ白い息を吐きながら駅までの道を走る。そんな俺の上に空からひらひらと無数の白い羽根が落ちてきた。この羽根を集めて大きな翼がつくれたら、羽田までひとっ飛びやのになぁ…。あぁ、せやけ…
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Days305 「SNOW!SNOW!SNOW!―M―」 美勇起 12月25日

涙が降るよ 見上げた空に はかない奇跡…。 手荷物検査のゲートをくぐり抜ける前に、もう一度だけ振り返って見た。並んで歩いてゆく友弥とマスミィの後ろ姿と、人混みから守るように、身重の義姉の肩に手をまわして歩く義兄の姿がぼくの瞳に映った。 彼の姿はどこにもない。 もう少し待ってみようかな? どこかから、走って来るかもしれな…
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Days304 「答えはきっと心の中に」 晴 12月25日

答えはきっと心の中に、あるいはずっと……。 俺のカクテルの名前は、呼んでもらえなかった。 優勝者と準優勝者がウィスキーのCMに出演している男前のタレントさんと一緒にテレビ取材を受けている。これはそのまま、夕方の芸能ニュースで流れるらしい。なんで、あそこに俺がおらんのやろなぁ?俺の筋書きでは優勝トロフィーを手に羽田空港に行って、橘…
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Days303 「キミハカルマ」 友弥 12月25日

永遠に恋しい…。 美勇起の演奏が終わった。 何もかも赦し、温もりに満ちた、豊かな愛情で包み込むような優しい演奏に誰もが、今ここで共に生きている幸せを感じていた。しんと静まりかえった中、小さく手を打つ音が聴こえてきた。車椅子に乗った少女が不自由な手で一生懸命に拍手を送っている。すぐにその横の青年が立ち上がり、大きな拍手を送った。と…
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Days302 「恋涙」 真紀 12月25日

あたしが勝っても、恨みっこなしよ…。 某酒造メーカー主催のカクテル・コンペ決勝戦が東京の老舗のTホテル、薔薇の間を貸し切って行われていた。第一次予選は先週の日曜日、各地区で行われたらしい。晴は激戦区といわれる東京ブロックに参加し、見事、二次予選通過者に選ばれた。今日はそこを勝ち抜いてきた総勢20名が集まり、その腕を競うことになって…
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Days301 「My Wish」 美勇起 12月25日

もうこれ以上、何も欲しがらない…。 拓海義兄さんと薫のお迎えで、父と母よりひと足先に聖和大病院へ向かう。 「あら、今日はずい分ラフな格好なのね」 出演者でもある薫は黒のシックなワンピースを着ている。どうやら彼女はぼくのタキシード姿を期待していたようだ。クリスマス・コンサートとはいえ、ごく内輪で開かれるものだし、この演奏会のあと…
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Days300 「月光 -H-」 晴 12月25日

きっと幻じゃなくて 強がりじゃなくて ぼくらをつなぐ淡い光…。 「お帰りなさーい、晴さん♪ ジンの部屋でやりますから、すぐ来て下さいね」 大盛況に終わったクリスマス・パーティの後、アパートに帰ると、ひと足先に戻っていた、『Butterfly』のダンサーくんたちが鍋の支度をして待っていてくれた。クリスマス会&カズくんの退院祝い&俺…
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Days299 「月光 -M-」 美勇起 12月25日

今、君に伝えたくて、光を集めて、心に描く想いは…。 時計の針があと少しで重なる。そろそろ、月が昇る頃だろう。 ぼくは昔から、月を見るのが好きだった。月は日々、形を変えてゆく。満ち欠けとも言うので永遠というものを求める人にとっては、あまり好まれないようだ。果たして、永遠というものがこの世にあるのだろうか? 人の気持ちも、姿も、…
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Days298 「この恋、眠ろう」 晴 12月24日

今はこの恋、眠ろう…。 お店が開くと同時にものすごい数の女性客が訪れた。クリスマス・イブということで、もしかしたら、今夜はあの幻の君、ヒカルさんがお越しになるかもしれない。という、噂が噂を呼び、この客入りになっているようやった。すごい人やな。姿を見せへんでも、これだけの客が呼べるんやもん。三国志でいうところの『死せる孔明 生ける仲…
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Days297 「手を振ってサヨナラ」 美勇起 12月24日

あなたが見た夢の続きを、ぼくが叶えられればいいのに…。 「行くでっ!」 真紀嬢はコートをはおり、ぼくの腕をつかむと店を飛び出した。何が起きたのかと拓海義兄さんと父があわてて追いかけてくる。ぼくは「大丈夫だから」とふたりを店の中に返し、彼女と『聖母マリアの受胎告知』が飾られている廊下に残った。 「『Butterfly』にでも行く…
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Days296 「カナシミブルー」 真紀 12月24日 

はなれていく、ふたりをとめて! 昨日はシュウの全国ツァー東京公演初日ライブやった。いやー、めちゃめちゃ良かったぁ~! スーパーヴォイスにさらに磨きがかかって、超ミラクルスーパーヴォイスになってたで。あ~ん、最終公演のチケット、なんとか手に入らへんかなぁ~? 今夜はクリスマス・イブ。当店『Maria』にとっては非常に大事な日や…
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Days295 「僕は思う」 美勇起 12月11日

今、ぼくは思う。 「大月くん、ピアノを弾いていただけませんか?」 サンタクロースの帽子を被った指揮者は東山医師だった。ぼくは首を振った。 「どうしてですか? 」 東山医師が指揮棒を振りながら、やって来た。 「ぼくみたいな人間の演奏、クリスマスには相応しくありません」 「君のピアノは心が洗われるって薫ちゃんに聞いていたんだ…
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Days294 「何とかしましょう」 友弥 12月11日

ここで俺らが何とかしなきゃ、いかんでしょう? 見損なったぜ、晴さんよ! そこまでどーしようもない奴だとは思わなかったよ! もっと気骨のある男だと思ったんだけどなー。恋敵がいるから燃え上がるっていうのもあるんだよー。晴さんよー、頼むぜ~。ここらでひとつ、俺らが何とかしねーといけねーのかなー? となりには望んでいた姿でマイ・…
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Days293 「Winter Kill」 晴 12月11日未明

その全て、もう誰かにあずけたんだね……。 あんな体で雨の中を歩き続けたら、身体を壊してしまう。 すぐに見つけ出して、店に連れてきて、ホットカクテルを飲ませてやろう。美勇起を探しに行くため、通りを駆け出そうとした時だった。 「晴さ~ん♪ この人たち、みんな、あなたのファンらしいですよ~♪」 翔さんと智さんがたくさんの女性を引き連…
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Days292 「LOVESICK」 友弥 12月10日

★★★★★(←こんなん、出てますけど~?) 12月1日の世界エイズデーの際に、この街で開催したチャリティー講演会(って、大げさなもんじゃねぇけどよ)が好評で、是非、定例化してほしいという依頼を受けた。エイズに限らず、性感染症というのは正しい知識を持つことが予防の第一歩になる。啓発活動は感染症医の最も重要な仕事のひとつだと考えている…
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Days291 「Solitude~真実のサヨナラ~」 美勇起 12月10日

もう、二度と会うこともないだろう……。 ぼくはどうしてよいのかわからなかった。自分の感情を整理することはおろか、普通に呼吸をすることすらままならない状態だった。何が起きているのか、どうなってゆくのか、皆目、見当がつかない。そんなぼくを差し置いて、彼らはどんどん、自分たちの思うように話をすすめて行く。ぼくは食事の途中でトイレに行くと…
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Days290 「ビロードの闇」 晴 12月10日

それだけが気がかりだった……。 『Butterfly』に来てから一週間が経った。俺なりにお客様を増やそうといろいろなアイディアを出してみた。まずは季節物イベントということで「『Butterfly』オリジナルクリスマスツリー」。星型や靴下型のカードにサンタクロースへ今、いちばん欲しいものを書き、それをツリーに飾るというものだ。その中…
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Days289 「再会」 美勇起 12月10日

こうなることを望んでいたはずなのに…。 晴が出て行った。 ぼくが思っていた以上に彼は成長を遂げていたのだ。人見知りが激しくて、臆病で、引っ込み思案な彼が自ら新しいものを求めて旅立とうとしている。これは実に喜ばしいことだ。世界を広げれば、新しい出会いも多くなる。細胞分裂を繰り返し、日々の命をつなげてゆく人間と同じ、古い細胞が自…
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Days288 「Bonnie Butterfly」 晴 11月27日

決して去ったなどと思わせてはいけない…。 「それ、どういうことやの!?」 彼女が今にもつかみかかってきそうな勢いで口を開いた。 「ミユ、あんた知ってたん!?」 「え…?あ、いや、ぼくも今はじめて聞いたんだ…」 美勇起はどうしてそんな大事な話をしてくれなかったんだ?と、でもいいたげな困惑した眼を向けていた。 「それで? ど…
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Days287 「最後の晩餐」 美勇起 11月27日

「お帰りなさいませ、ご主人様♪」 玄関ドアを開けたとたん、晴と真紀嬢と沙良さんが三つ指をついて迎えてくれた。しかも三人お揃いのフリルのついたエプロン姿だ。これに対してぼくはどうリアクションすればよいものなのか? 面食らっていると晴が両手を差し出してきた。 「何?」 「カニ」 「かに?」 「カニ……忘れたん?」 「………忘…
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Days286 「おうちに帰ろう♪」 美勇起 11月27日

もう少し、時間が欲しいんだ。 警察の事情聴取に現場検証、相手の弁護士との話し合い、その合間に病院へ行き腕の傷の治療をする。という、心はずまない日々が続いていた。しかもぼくが移動するときには必ず護衛がつけられた。それはもちろん、大学に向かうときもだ。毎日、門の前にあの黒塗りのいかめしい車で乗り付け、帰りも同じ車が同じ時間に同じ場所で…
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Days285 「優しくしなくていいから…」 美勇起 11月8日

特別扱いしてほしくないんだ…。 病院を出たあと、ぼくと橘は警察に寄って簡単な手続きを済ませた。病院でぼくの弁護をしてくれたときと違って、橘は口数が少なかった。ぼくのケガや病気のことを養父にどう話そうかと、気をもんでいたのかもしれない。 「ごめんね」 ぼくは橘に謝った。 「何が…ですか?」 「いろいろなこと…」 「………」…
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Days284「Hard-boiled」 晴 11月8日

美しい勇気を起こせ。 若い頃、ちょうど今の俺くらいの頃の橘さんは相当な暴れん坊だったらしい。もう一人、同じような境遇の男がおり、そいつとつるんではケンカに明け暮れ、それこそ地元では負け知らずだったそうだ。当然のようにふたりは地元の組織に入り、構成員となった。そんなある日、突然、橘さんだけ幹部に呼ばれ、身に覚えのない理由で私刑を受け…
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Days283 「Eyes」 晴11月8日

俺は息をのんだ。 強くなる。なんて心に誓って店に出たくせに、やっぱりあかんかった。頭ではわかっていても、気持ちがまだついていけてへん。そのうえ彼女には「美勇起と何かあった?」と、指摘されるし、泣いているところまで見られてしまった。幸い、夫婦喧嘩(っていうのもどうやろ…)と思ってくれているみたいやけど…。 橘さんに呼ばれた。美…
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Days282 「最後の涙」 晴 11月8日

俺はそこで、これ以上ないってくらい泣いた。 あの後、俺は増見くんを伴って救命センターに向かった。だって俺、美勇起から何にも聞いてない。いちばん近くにいる俺が知らないのに、何で増見くんが知っているん?そんなのおかしい。何かの間違いや。救命センター前の廊下では、着物姿の女性と桜ケ丘高校の制服を着た女の子が、あの長澤先生に食ってかかって…
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Days281「夫婦喧嘩ですかぁ(-_-メ)」 真紀11月8日

あんたら、またケンカしたん? めずらしく晴が遅刻してきた。連絡もなく、電話もつながらなくて、事故に逢ったのではないかとみんなが心配していた。それでも開店して一時間を過ぎた頃、「寝過ごした~すんませ~ん」と、無事に出勤してきた。でも、まぶたが腫れていて、ちょっと鼻声やったから、風邪でもひいて寝込んでいたのかもしれない。 今夜も…
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Days280 「ふたりでひとつ 」晴 11月8日

あ~あの、青春なんとかみたいな? 長澤先生と別れたあと、嫉妬や何やらで濁ってしまった心を浄化させたくて、俺は黒崎雪那ちゃんの病室に向かった。記憶が自分のいちばん幸せだった頃に戻っているからなのか、自分だけの世界で生きているからなのか、それはわからないけれど、彼女を見ていると、こっちまで心が透き通ってくるから不思議やった。光一さんに…
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Days279 「Father」 友弥 11月8日

そうすることで相手が納得するなら、嘘も方便ということだ。 突然、晴が訪ねてきた。俺は美勇起が自分の病気のことを話したものと思い込んでいた。少しずつ探ってみると、どうやら晴は病気のことを全く知らないようだった。やはり、美勇起も自分の口から告げることに抵抗があるのだろうか?それとも彼のこと、何か意図があるのかもしれない。ここは不用意な…
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